仙台市青葉区の認定こども園「森のこども園」ってどんなところ? 前編

今回は、仙台市青葉区桜ケ丘にある、「宮城学院女子大学附属認定こども園森のこども園」の園長である武田健先生に話を伺いました。

園庭に固定遊具を置かない保育

「森のこども園」は、2016年11月に宮城学院女子大学付属幼稚園から幼保連携型認定こども園に形を変えて開園。デンマーク発祥と言われる「森のこども園」、北欧の「アウトドア保育」を採り入れ、自然を活かした先駆的な保育・教育を採り入れたとして生まれ変わりました。

武田園長は仙台市内の幼稚園で教諭として19年、大河原町の保育園では園長として17年幼児教育に関わり、2023年4月より宮城学院女子大学附属認定こども園森のこども園の園長に着任し、宮城学院女子大学教育学部教育学科の助教授としても務めています。

森のこども園園長の武田健先生(撮影/筆者)

Q:宮城学院女子大学附属認定こども園「森のこども園」の園舎は他では見ないような可愛い建物ですね。

武田園長:園舎は、麦わら帽子のようなイメージでつくられた、絵本に出てくるような建物です。麦わら帽子がいくつも並んでいるように見える園舎は起伏がある屋根に覆われ、子どもたちを暖かく包んでいます。また園舎を挟んで南側と北側に園庭があり、北側の園庭には芝が敷き詰められ、大切に手入れをしています。

園舎は、せんだいメディアテークを設計された伊藤豊雄氏の事務所が設計してくれました。木造平屋建てで、木材がふんだんに使われていますが、ランチルーム兼遊戯室の森のホールの天井は、しならせた木材を格子状に編み込み、くぎを使わず建築されています。

森のホール(筆者撮影)

Q:「森のこども園」の特徴について教えてください。

武田園長:「森のこども園」は、いわゆる固定遊具と言われる滑り台やブランコなどは全く置かないというコンセプトで園庭がつくられています。

幼稚園などの保育施設には遊具の設置基準のようなものはありますが、必ずしも置かなければいけないというわけではなく、その代わりになるものがあれば大丈夫です。自然豊かな森という環境があり、その中で木登りをしたり、飛び降りたり、くぐったり、ぶら下がったり、固定遊具がなくても楽しめることはあります。園庭は高低差や起伏があるので体力も鍛えられますし、夏は、プールの代わりにスプリンクラーでの水を浴びるなどして水遊びをします。

水遊びをする子どもたち(写真提供/森のこども園)

そんな環境で遊具に頼らず遊びをつくりだし、子どもたちが遊べるきっかけや気づきを与えるといったことを工夫しています。

豊かな自然と触れ合う保育

Q:自然と触れ合う教育とは。

武田園長:コロナ禍で、人との接触などいろいろなものが制限されたとき、換気が悪い室内にいるより外に出て密になるのを防いだり、ストレスが緩和されたりしたことがありました。自然にかなうものはないのかもしれません。

自然やアウトドアというと、火を焚いたり、特別なことをするような難しいイメージがあるかと思いますが、外遊びの中で森に出掛けたり、動植物と出合ったり、必ずしも一定ではない自然に触れて、そこから何かを感じてもらいます。

子どもたちは自然に興味津々(写真提供/森のこども園)

ただ、保育者の方が、幼いころ、森や自然の中で遊んだ経験が少ないまま先生になっていることも多く、虫や生き物にびっくりしたり、一緒に学んでいる部分はあるかもしれません。

Q:「森のこども園」が目指していること、方針を教えてください。

武田園長:「森のこども園」は、自然や森を活かした保育に加えて、キリスト教教育を基盤に、聖書の教えに基づいた人間教育を理念とする宮城学院女子大学附属の認定こども園で、大学と協力して保育の研究を行ったり、実習指導の場になったりします。

特に、子どもたちが「なぜだろう、どうしてだろう」と不思議に思う心、「すごいね、きれいだなぁ」と感動する心、人と協力して暖かく接する「思いやりの心」、という3つの心を育む保育に取り組んでいます。

次回も引き続き、「森のこども園」について武田園長にお話を伺います。

◆◇◆◇◆ 取材協力 ◆◇◆◇◆

施設名/宮城学院女子大学認定こども園森のこども園
住所/仙台市青葉区桜ケ丘9-1-1(宮城学院構内)
アクセス/(1)仙台駅西口バスプール2晩または3番より路線バスに乗車約30分、バス停「宮城学院前」下車、(2)地下鉄旭ケ丘駅3番より路線バスに乗車約10分、バス停「宮城学院前」下車、(3)バス停「桜ケ丘七丁目東(宮城交通)」より徒歩7分
問い合わせ/TEL:022-279-1344 メール:kinder@mgu.ac.jp
HP/http://www.mgu.ac.jp/kinder