仙台市青葉区の認定こども園「森のこども園」はどんなところ? 後編

豊かな自然と森の環境を活かし、固定遊具を置かない保育を実践している、宮城学院女子大学附属認定こども園「森のこども園」。今回は、園長の武田健先生に話を伺いました。

幼保連携型の認定こども園

「森のこども園」は、幼保連携型の認定こども園です。

幼保連携型の認定こども園とは、保育園と幼稚園の機能を持ち、保護者の就労や家庭の状況に関わらず同じ施設で教育・保育を受けることが可能な施設です。また、保育園は保育士、幼稚園は幼稚園教諭と必要な資格や免許が違いますが、認定こども園は、保育士と幼稚園教諭、両方の資格を持つ人が保育を担当します。

1号、2号、3号の認定については、仙台市のホームページ(https://www.city.sendai.jp/nintechosa/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/hoikujo/annai/yochien.html)を参照。

園舎の窓から見る園庭(筆者撮影)

Q:「森のこども園」の定員は?

武田園長:「森のこども園」に入園できるのは、0歳児(生後4カ月)から就学前の子どもたちで、定員は120名で年齢ごとに人数が決まっています。3号認定の保育園機能を利用する子どもたちの定員は30名で0歳児が6名、1歳児が12名、2歳児が12名です。3歳児~5歳児は、各年齢1クラスで定員30名となっています。内、1号認定と2号認定の子ども各15名ずつ、30名となっています。

簡単に言うと、1号認定は幼稚園機能を利用する子どもたち、2号認定は保育園機能を利用する子どもたちで、ひとつのクラスに、1号認定の子どもたちと2号認定の子どもたちがいて、一緒に過ごしています。「森のこども園」に限らず、どこも同じだと思いますが、幼稚園を希望している方も入れるのは、保護者にとってありがたいことだと思います。

保育室のとうもろこし(筆者撮影)

Q:1日の保育の流れは?

武田園長:保育開始は7時からで、お家の方の都合に合わせて7時~9時までは早期預かり保育を行い、9時から14時まではみんなが一緒に過ごす時間、14時以降は18時または延長保育を利用して19時まで過ごす子どもたちがいます。基本的に、午前中は外遊びをしたり、クラスによっては年齢に合わせて何かを製作したり、ゲームをしたり散策するなど活動に取り組んでいます。

英語や漢字教育など、特別なカリキュラムは導入していませんが、食べる、寝る、遊ぶといった生活を通して未来を生きていくたくましい力、心身の健全な成長を促します。また起伏に富んだ園庭で自然の中で五感を使った遊びを繰り広げながら学びの芽や創造力を育て、体幹を鍛え、豊かな個性を養う、そういう保育に取り組んでいます。

早期教育を求めて、「遊びばかりで大丈夫ですか?」「小学生になったときに、算数や国語はできますか」と心配される保護者の方もいらっしゃいます。けれども、小学生になって初めて算数や国語に触れた子どもが新鮮で楽しくて仕方なくて、いつのまにか先取りして学んでいた子どもを追い越すというケースもあると聞いています。理科などは、普段の生活や遊びの中で実際に見て経験して何かを学んで、学校の授業に「あのときと同じだ」とか気づいて、つながっていくこともあると思います。

Q:「森のこども園」では、どんな行事がありますか。

武田園長: 10月の遠足は、年齢や年によって違いますが、今年度5歳児は栗駒高原ファームに出掛けて、こども園の田んぼのお世話をしていただいている方々に田んぼ(稲)の様子を見せてもらったり、トラクター、コンバインを見せてもらったりしてきました。

保護者の方に参加していただく行事では、5月に3歳児から5歳児が保護者と一緒に学内の森を1時間程度かけて散策しながら語り合う「親子ウォーキング」があります。また9月には運動会があります。

5歳児だけの行事ですが、7月にはサマーキャンプがあります。園にお泊りして、森の中で自然を楽しみながら、ゲームをしたり、みんなで作ったカレーを食べたり、キャンプファイヤーをしたり楽しい時間を過ごします。

サマーキャンプ(写真提供/森のこども園)
サマーキャンプで楽しい経験(写真提供/森のこども園)
サマーキャンプのご飯の例(写真提供/森のこども園)

またキリスト教の園はどこでも行っている、花の日礼拝、イエス・キリストの復活を祝うイースター礼拝、収穫に感謝する収穫祭礼拝、イエス・キリストの降誕を祝うクリスマス礼拝などを守ります。

お米や野菜を育てて食べる「食育」の楽しさ

Q:「森のこども園」は、食育にも力を入れてるそうですね。

武田園長: 北園庭には田んぼと畑があり、そこで5歳児がお米と野菜を育てて給食で食べています。お米は籾を蒔くところから始めて、田植え、稲刈りまでをしています。

稲刈り(写真提供/森のこども園)

また、畑では、トマトやナス、きゅうり、枝豆、オクラ、サツマイモなどたくさんの新鮮な野菜が収穫できます。ボランティアの方や沿岸部の被災者の方にお手伝いいただいてやっています。今年は雨が少なかったりしましたが、例えば野菜がうまく育たないのは何故だろうといったことも経験として学べます。

園内の畑(筆者撮影)

収穫した野菜を使い、野外で調理して食べること、給食で使用する食器も数種類の木材を使って手作りしてもらった皿やお椀を使うなどしています。また、できるだけ地元の旬の野菜を使った手作りの給食はおいしいと好評で、午後のおやつも旬のものを使って丁寧に手作りしています。

ある日の給食メニュー(筆者撮影)

野外で調理(写真提供/森のこども園)

「森のこども園」では、入園に関係なく、子育て支援室、一時預かり保育事業、放課後に小学生が過ごす児童クラブも運営しているので、また別な機会にご紹介したいと思います。

◆◇◆◇◆ 取材協力 ◆◇◆◇◆

施設名/宮城学院女子大学認定こども園森のこども園
住所/仙台市青葉区桜ケ丘9-1-1(宮城学院構内)
アクセス/(1)仙台駅西口バスプール2晩または3番より路線バスに乗車約30分、バス停「宮城学院前」下車、(2)地下鉄旭ケ丘駅3番より路線バスに乗車約10分、バス停「宮城学院前」下車、(3)バス停「桜ケ丘七丁目東(宮城交通)」より徒歩7分
問い合わせ/TEL:022-279-1344 メール:kinder@mgu.ac.jp
HP/http://www.mgu.ac.jp/kinder