児童虐待防止推進月間。子どもの虐待を防ぐには?

11月に入ってから、どこかでオレンジリボンを見かけた人は多いのではないでしょうか。今月は「オレンジリボン・児童虐待防止推進」月間です。

仙台市で保育・家事代行サービスを行う「Family Sitter仙台」保育家事代行事業部の髙橋愛さん(あい先生)に話を伺いました。

■子どもの虐待の通告は国民の義務

「11月は、国が推進する児童虐待防止推進月間で、全国で様々な取り組みやイベントが行われています。私が公立の保育園で働いていた頃は11月になると全保育士がエプロンにオレンジリボンを付けて、虐待の防止や早期発見の啓発を行っていました。

髙橋愛さん(あい先生)。保育士・幼稚園教諭の資格を持ち、保育施設で14年間勤務。7歳、5歳の2児の母(写真提供は「Family Sitter 仙台」)

保育園や幼稚園では、家庭で子どもの虐待が疑われる場合は、行政や児童相談所に通報することが義務になっています。そのため、普段から私たちはお預かりしている子どもたちに変わったことがないかを注意深く観察したり、オムツ替えや着替えのときなども、皮膚などを見るようにしていました」(コメントはすべてあい先生)

そもそも「オレンジリボン・児童虐待防止推進運動」が始まったきっかけは、2004年に栃木県で起きた虐待事件だそうです。その事件は、3歳と4歳の兄弟が、父親の友人から繰り返し暴行を受けていて、虐待の跡がある兄弟の顔を見たコンビニの店長さんが警察に通報して、いったんは保護されましたが、あるとき、息も絶え絶えの状態で、橋の上から沢に投げ込まれて亡くなったという本当に痛ましい事件です。もう二度とこういう痛ましい事件が起きないようにと願い、この運動が始まりました。

虐待かもしれないと疑ったとき、子どもの命に危険が及ぶと考えられる場合は、連絡を。虐待の通告は、児童福祉法において、国民の義務とされています。

■どこの家庭でも虐待が起きる可能性がある

そもそも、虐待とはどんな行為を指すのでしょうか。虐待は「身体的虐待、心理的虐待、育児放棄(ネグレクト)、性的虐待の4つのカテゴリーに分かれています。時に虐待としつけの判断が難しいこともあると思いますが、「子どもが本当に精神的苦痛を感じたら虐待ではないかと思います」とあい先生。

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「毎年50人前後の幼い子どもが虐待によって命を落としていて、その半数が0歳の赤ちゃんです。

子どもへの虐待は他人事ではなく、どこの家庭でも起こりうる可能性があります。親が虐待をしてしまうときは、心の余裕がなかったり、心身ともに疲れてイライラしていたり、0歳の子どもに対しての場合は、お母さん自身が睡眠不足で心にいろいろなストレスを抱えて考える力がない状態だったり、もしかしたらその前後から産後うつで、不安や孤独を感じている場合もあるかと思っています。

もちろん虐待は許されることではありませんが、その背景には、子育てをするのも大変な家庭事情があったり、周囲に相談したり頼れる人がいなくて、一人で頑張りすぎて苦しくなったりと、複雑な要因が絡み合っていることが多いようです。

つまり、虐待をするという行為には虐待をしている人が助けを求めている場合もあるので、周囲の理解と支援が必要不可欠ですし、もとになる苦しみが少しでも軽減されることが虐待から抜け出せる道なのかと思います」

■家事も子育ても完璧を目指さずゆったりと

「子育ては、想像以上に頭も身体も酷使するので、完璧な親を目指そうとか、家事全てをちゃんとこなそうとせず、できるところは手を抜いて、自分をラクにしてあげることも大事だと思います。

私も仕事をしながら夫と家事を分担していましたが、少し前に夫が単身赴任になって、もう毎日家事をしながら子どもたちの幼稚園と学校の準備や宿題のチェック、習いごとの付添いなどを一人でやるようになって毎日があわただしく過ぎていきました。そんなときに、次男がぼそっと『お母さん、最近なかなか遊んでくれないね』って淋しそうに言ったんです。

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それを聞いて、私は子どもたちのために必死に家事をしていたつもりでしたが、それより子どもは少しの時間でも一緒に遊んだりする方がうれしいと気づかされました。私自身が、子どもの顔をちゃんと見て会話する余裕もなく、あれしなさい、これしなさいなんて言ってたなあと。

それからは、家事を手伝ってもらいながらコミュニケーションをしたり、たまにはお惣菜やお弁当を買ったりして、その分時間をつくって、おしゃべりやスキンシップをしたり、オンラインでパパと話したりするようになりました。子どもとどう過ごせているか、子どもと愛情を持って接することができているか、子育ての悩みを周囲の人に打ち明けることができているか、時々振り返ってみることも大事なのかと思います」

誰にでも起こりうる虐待。家事も子育ても一人で抱え込まないで、「自治体の窓口や虐待防止センター、児童相談所など、様々な相談機関があります。私たちのFamily Sitter仙台でも家事・育児相談を行っているので、気軽に頼ってください」とあい先生。

虐待かもと思ったとき、また自分が虐待しそうな精神状態に陥ったときの相談窓口は「189(いちはやく)番へ。詳細は以下のページを参照してください。

■仙台市 児童虐待相談窓口

https://www.city.sendai.jp/kodomo-chiiki/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/gyakutai.html

取材協力:Family Sitter仙台

https://peraichi.com/landing_pages/view/kidslinesendaiko

050-3749-5127(9:00~17:00)