インフルエンザや新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症、気をつけたいですね。今回は仙台市で保育・家事代行サービスを行う「Family Sitter仙台」保育家事代行事業部の髙橋愛さん(あい先生)に子どもがかかやすい感染症について教えてもらいました。

髙橋愛さん(あい先生)。保育士・幼稚園教諭の資格を持ち、保育施設で14年間勤務。7歳、5歳の2児の母(写真提供は「Family Sitter 仙台」)
■注射ではない新しいインフルエンザワクチン
「気温や湿度が低くなる冬は、様々な感染症が流行する季節です。代表的なのがインフルエンザですが、うちの子どもが通っている幼稚園でも、インフルエンザの流行の兆しがあるという連絡が回ってきました。
インフルエンザは予防接種を受けることで重症化を防ぐ効果がありますが、2024/25シーズンから、フルミストという、鼻に噴射するスプレータイプのインフルエンザワクチンが日本でも薬事承認されて、医療機関での接種が可能になりました。

※イメージ写真
フルミストの接種年齢は2歳から18歳で、19歳までとしている医療機関もあるようです。両方の鼻の穴にフルミストを入れて1回ずつ噴射するだけで、感染経路である鼻や喉の粘膜に抗体がつくれるので、効果が高く、しかも1年間持続するというメリットがあります。
ただ、医療機関からも最初に副反応が出やすいという忠告を受けましたが、うちの子ども2人もフルミストを接種して、従来の注射のワクチンのときには出なかった副反応が結構強く出て、接種して3分後くらいに2人とも頭が痛くなり1時間ぐらい頭痛が続いたんです。その後も、のどの痛みや鼻水が数日続いたりもして、再受診して処方薬をもらいました。

※イメージイラスト
フルミストに限らず、注射の予防接種にも言えることですが、接種後に副反応が出ることを考えて、園の行事や家族旅行などの直前にワクチンを接種するのは控えた方が安心かと思います」(コメントはすべてあい先生)
注射嫌いのお子さんには、スプレータイプのワクチンが受けられるのはうれしいですが、副反応があることも意識しながら、接種後は無理をしない方がいいですね。
※日本小児科学会の経鼻弱毒性インフルエンザワクチンの使用に関する考え方
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf
■感染症胃腸炎は水分補給を
食物を吐いたり下痢がひどいときは、感染性胃腸炎(ノロウイルス)の可能性があります。ただの胃腸炎ではなく、ウイルスを原因とする胃腸炎で、一年中発症しますが、冬場に猛威をふるうのがノロウイルス、ロタウイルスです。
「ノロウイルスは年齢に関係なく感染しやすいですが、ロタウイルスは生後6カ月~2歳の乳幼児が多くかかります。下痢や嘔吐、発熱などの症状を引き起こし、非常に感染力が強く、保育園などの集団で過ごす施設ではあっという間に流行します。
ロタウイルスは、2~3月が最も多く発生しやすい時期。飛沫や接触、食物、空気などを通じて家族にも感染しやすいので、手洗いはもちろん、換気をして部屋の空気を入れ替えたり、汚物や嘔吐物の処理の仕方なども手袋をして直に触れないよう注意して、消毒します。消毒の仕方はアルコールでは死滅しないため、市販されているキッチンハイターなど、塩素系の漂白剤を使用しての消毒を徹底してください。

※イメージイラスト
ロタウイルスに感染した場合は特効薬がないので、下痢や嘔吐などの症状に対する対処療法のみになります。嘔吐や下痢を繰り返し急激に脱水症状になりやすいので、こまめに水分補給を。小さいお子さんは高熱を出したり重症化しやすいので注意して見てあげてください。
少しでも食べられるようになったら胃腸に負担がかからない食べ物、うどんやりんご、バナナなどを、少しずつ口に入れてあげましょう。下痢がひどいからと自己判断で下痢止めの市販薬を使用するのは要注意です。
体内のウイルスを排出することで症状が徐々に治まるので、十分な水分補給をしながら落ち着くまで無理をしないでください」
■日頃から基本のウイルス対策をしっかり

※イメージ写真
「ほかにも子どもが感染しやすい感染症に、RSウイルスがあります。感染すると鼻水、発熱、咳など風邪のような症状が見られます。症状が重くなりやすく、特に乳幼児や基礎疾患があるお子さんは、気管支炎や肺炎を発症して重症化しやすい特徴があり、入院することも多いです。予防接種も特効薬もないので、かからないよう未然に防ぎたいですね。園で流行していて、子どもの体調が悪いときは無理に登園させないことも必要です。
また、水痘(みずぼうそう)は、皮膚に赤い発疹が現れて全身にかゆみを伴う水ぶくれができます。病院に行くと飲み薬や塗り薬を処方されます。かゆくてつい皮膚をかいてしまいますが、爪を短く切ったり長袖の洋服を着せたり、包帯を巻くなどして、かきむしらないよう気をつけましょう。かさぶたができればある程度落ち着くので、外出をせず安静にしましょう。
子どもは大人に比べて感染症にかかりやすい傾向があるので、年間を通して、手洗い、うがい、消毒などの感染対策は、親も含めてしっかり行うことが予防につながります」
健康な毎日は何よりの喜び。「あのとき気をつけていればよかった」と後悔しないためにも、日ごろから感染対策をしっかり意識しましょう。
取材協力:Family Sitter仙台
https://peraichi.com/landing_pages/view/kidslinesendaiko