パワーアップした「仙台市科学館」で科学の不思議を体感

平成2年に台原森林公園に移転した仙台市科学館(HOKUSHU仙台市科学館)は、仙台市民にはすっかりおなじみのスポット。科学という名前だから、お堅い印象があるかもしれませんが、「ふれる科学、ためす科学」をコンセプトにした参加型の科学館で、何度も足しげく通うリピーターが多い施設です。約2年かけて展示室の全面リニューアルを行い、令和7年4月5日にグランドオープンしました。今回は、「HOKUSHU仙台市科学館」のリニューアルの見どころをご紹介します。

外観(写真提供/(公財)仙台観光国際協会)

■地震の揺れを実際に体験できる装置

令和6年に先行して4階展示室のリニューアルを行い、続いて3階展示室の「生活と科学-ワンダーサイエンスルーム-」のリニューアルが完成。事業係指導主事の菅原豪紀(すがわらひでとし)さんにお話を伺いました。

菅原豪紀(すがわらひでとし)さん

「3階は、名前のとおり、身近な生活の中にある科学を取り上げながら、小さなお子さまから大人の方まで楽しんでいただける展示内容を心がけました。新たな装置をたくさん導入しましたが、以前から大人気だった展示物も生かし、パワーアップさせて再展示しています。開館当初から『ふれる科学、ためす科学』というのコンセプトを大事に、参加体験型の展示装置を採り入れています。また、テーマごとに7つのゾーンに分けたことで、よりテーマと内容が分かりやすくなりました」(コメントはすべて菅原さん)。

7つのテーマの中でも人気が高いのが「自然と災害」のコーナーにある「地震体験シアター グラリくん」。土・日曜は順番待ちで30分待ちになることもあるそう(体験は身長120cm以上の制限があります)。

「2人乗りのシートに乗り、東日本大震災の際に仙台で観測された揺れを体験しながら、目の前にあるモニターで、地震が起きた時の家の中の様子が見られる、臨場感ある装置です」

東日本大震災を経験していない子どもたちが当時の揺れを体験して、お父さんやお母さんから地震の話を聞いて、地震とはどんなものかを少しでも感じることは、貴重な経験になるでしょう。

■地下鉄の運転の体験や、科学工作や実験にも挑戦

次に紹介する「乗り物ガレージ」では、実際に使われていた飛行機とレーシングカーに乗って写真を撮ったり、エンジンの仕組みを学んだりすることもできます。また、地下鉄シミュレータでは、地下鉄台原駅~旭ケ丘駅の1駅区間の運転を体験できます。

南北線新型車両3000系の運転席と客席窓にカメラをつけて撮影した実写映像がモニターに映し出され、実際に運転している感覚を味わいながら、そのスピード感と迫力に圧倒されます。指示に従って加速や減速、ブレーキをかけたりしながら、駅に到着したら正しい停車位置で停められるか、挑戦してみましょう。

また、「チャレンジ・ラボ」では、10:20~と13:00~の1日2回、実験や工作を体験できるワークショップ「トライタイム」を開催しています。

「トライタイムのプログラムは、月の前半と後半で変わり、土・日のスペシャルメニューと合わせて、1カ月に4つのプログラムを用意しているので、何回来ても楽しめます。どなたでも予約なしで参加できて、参加料は無料(入館料別途)です。トライタイム以外は、プレイタイムとして簡単な科学のおもちゃで自由に遊べますし、以前より割れにくくなった大きなシャボン玉の中に入ることもできるので、試してみてください」

3階フロアには、他にさまざまな日常の不思議を体感できる「自分のふしぎ」「ワンダータワー」「感覚のふしぎ」と先端の科学や研究が学べる「連携ラボ」があります。

■鳥になって広瀬川沿いの空を飛ぶ体験も

4階の展示室も、他では見られない大迫力の臨場感あふれる展示物がたくさん。リニューアルでは「宮城・仙台の自然」エリアの「大地の記憶」は、宮城県、仙台の大地の成り立ちに関連する岩石や化石、古象の標本などを、年代順に見やすく並べ替えました。

「広瀬川スカイアドベンチャー」が新たに登場。「広瀬川を下流から上流に向かってドローンで撮影した映像を大画面で体感できます。広瀬川沿いを鳥になって風を受けて飛んでいるような気分が味わえます」

また「科学の探究」エリアでは、科学の基本となる長さや重さ、時間などの単位を体験できる「サイエンスユニット」の装置を新たに設置。科学の法則や原理などを体験しながら学べる展示室となっています。

「小さいお子さんが遊びながら科学に興味をもつきっかけになったり、保護者の方も一緒に楽しんでいただける施設になっています。リニューアルしてさらに展示が充実した科学館にぜひお越しください」と菅原さん。

短時間でもじっくりでも、科学館の展示は順路がないので、興味のある展示から思い思いに見学することができます。帰りに岩石園などの屋外展示を見たり、台原森林公園を散策したりと、いろいろな楽しみ方があり、つい夢中になって時間があっという間に過ぎてしまうかもしれません。地下鉄駅からも近く行きやすいので、ふらっと出かけてみてはいかがですか。

■施設DATA ■HOKUSHU仙台市科学館■

所在地 青葉区台原森林公園4-1

アクセス 地下鉄南北線「旭ケ丘」駅より徒歩5分

開館時間 9:00~16:45(入館は16:00まで)

休館日 月曜(祝休日を除く)、祝休日の翌日、第4木曜ほか 入館料(個人) 一般550円、高校生320円、小・中学生210円