東日本大震災からまもなく13年目を迎えますが、今年元旦の能登半島地震のニュースを見て、あの時の怖さや不安な日々がよみがえった人もいるのでは。
災害が起きたとき、自分で命を守れない赤ちゃんや小さな子供がいる家庭は、大人だけの家庭とは違う対策が必要になります。そこで今回は、仙台市危機管理局減災推進課の仙台市防災・減災アドバイザー、早坂政人さんに、乳幼児がいる家庭の災害への備えや行動、注意点などを教えてもらいました。
■災害時、子どもに必要なものを備えよう
「日ごろからの備えとして、家庭での備蓄と、非常用持ち出し品(袋)がありますが、乳幼児がいる場合、一般的なものに加えて、非常用持ち出し品には、母子健康手帳、子どものおもちゃ、絵本など、子どもが使うものも入れておくといいですね」と早坂さん(コメントはすべて早坂さん)。
乳幼児の食事は大人とは違い、簡単に手に入らない場合もあるので要注意です。
「食物アレルギーがある乳幼児がいる場合、普段から食べ慣れているアレルギー対応食品やベビーフードなどは多めに準備しておくといいでしょう。粉ミルクは、母乳栄養のお母さんも、災害時は一時的に母乳の出が悪くなることがあるため、粉ミルクや哺乳びんを用意しておいた方がいいでしょう」
そして、避難用バッグはどうしたらいいのでしょうか。
「避難する際、乳幼児に避難用のバッグを持たせることはないと思いますが、小学生ぐらいなら普段背負うランドセルぐらいの重さのリュックを背負わせて、必要最低限のものを持たせると安心です。好きなおもちゃや人形、本、漫画など、気を紛らわせたり暇をつぶせるようなものがあるといいと思います」
乳幼児に必要な備え(例) ■粉ミルク、粉ミルク用の水(軟水) ■哺乳びん ■離乳食(レトルトパック、瓶入りのもの) ■紙オムツ(サイズが合うもの) ■お気に入りのおもちゃ、絵本など ■抱っこひも ■スプーン ■おしり拭き ■バスタオル(多目的に使える) ■ビニール袋 ■キッチン用ラップ ほか |
以下は、仙台市の子育てサポートブック「たのしねっと」(令和5年度)に、家庭用備蓄と非常持ち出し品(例)の一部です。参考にしてください。
■地震が起きたらどう行動する?
子どもと自宅にいて、地震があったらまず何をするかも、考えておきたいですね。
「子どもに限らず危険性が高いのは、倒れた家具の下敷きになることです。普段から家具の転倒防止対策を行い、ベビーベッドの周りに物を置かないようにしておくこと。
もし地震が起きたら『ダンゴムシのポーズ』をしてください。小学生になると、地震が起きたら机の下にもぐるなどを先生に教わりますが、就学前の子どもには『ダンゴムシポーズをしてね』『亀さんみたいになって』を日ごろから教えておきたいですね。
建物が揺れている間は、命を守る行動を最優先で行ってください。そして避難するかどうかは皆さんの判断になります」
「ダンゴムシのポーズ」とは、お母さんが子どもを包むように覆いかぶさり、身体をギュッと丸めるポーズです。このポーズは子ども一人でもできるので、教えてあげてくださいね。
災害は地震だけではありません。最近、宮城県内でも水害が増えていますが、水害については何をしたらいいのでしょうか。
「地震は予測できず突然発生しますが、大雨災害は前もって天気予報や警報で注意を呼び掛けているので、事前に計画的に準備をすることで被害を少なくできます。普段から〇〇警報や○○情報が出たら何をするか、家庭で考えておくことが大切です」
■避難所に乳幼児用の備蓄品はある?
我が家の災害の危険性、避難所の場所を知っていますか。主な避難所は近くの小・中学校ですが、実は避難所によって対応する災害が限られます。水害のときは開設していない避難所もあるので、仙台防災ハザードマップとともに事前に確認しておきましょう。
仙台防災ハザードマップhttps://www.city.sendai.jp/anzensuishin/kurashi/anzen/saigaitaisaku/hazardmap.html
乳幼児がいると、避難所には連れて行きたくないと自宅にとどまり、ライフラインが使えなくなった時点であたふたして避難所にとびこむ親も多いそう。そのためにも日ごろから必需品の備蓄をしておきましょう。では、仙台市の避難所では、どんな準備があるのでしょうか。
「仙台市としては、乳幼児向けに、一般用とアレルギー対応の粉ミルク、哺乳瓶、消毒用品、電気ケトル、授乳ケープなどを乳幼児用物資として備蓄しています。
ただし、普段は避難所ではなく、各区役所などに保管しておき、避難所で必要になったときに配送・補充します。全ての方に必要な食料や飲料水は約400人分を準備していますが、乳幼児向けの備蓄品などは、適宜送るという計画になっています。例えば、紙おむつやおしり拭き、生理用ナプキンなどは、仙台市とみやぎ生協さんとの提携により、災害時に指定避難所に配送される方式をとっています」
全ての人に必要な一般的な備蓄品ではない、乳幼児向けの備蓄品は即時用意できるわけではなく、多少のタイムラグがあるため、乳幼児用の非常持ち出し袋の用意は必要です。
「人から借りることができないものは、非常用持ち出し袋に入れておくこと。また、定期的に内容を見直して、紙おむつのサイズを確認したり、夏は熱中症対策、冬は寒さ対策など季節で必要なものも用意していただきたいですね」
■取材協力
仙台市危機管理局 防災・減災部 減災推進課
早坂 政人さん