子育てサポートを行う地域の居場所+雑貨店「MiQuare(ミクエア)」プロデューサーに聞く

雑貨&アパレルショップの店内にプレイルーム(子育て広場)があり、スタッフが子どもと遊んでくれる間にママがひと休みできる、全国でも珍しい施設「MiQuare(ミクエア)」。子育て家庭に優しい取り組みを行う「せんだいのびすくサポーター」登録施設です。今回はプロデューサーの岡田珠美さんに「MiQuare(ミクエア)」を立ち上げたきっかけやご自身の子育てについて話を伺いました。

自閉症の子どもと行ける居場所がほしかった

Miquareは「Mingle=多様なものが交わる」と「square=広場」を組み合わせた造語で、多様な人が交わる広場という意味。多様性やダイバーシティを重視した誰でも使える場所だと伝わるように名づけたそうです。

2021年の9月、岡田さんがミクエアを始めたのは、息子さん(現在小学校高学年)がきっかけです。

「子どもが自閉症で、不登校でした。自閉症には様々なタイプがあり、また子どもが自閉症であることを認める親と認めたくない親がいて、それぞれに思いがあります。自閉症は病気ではありません。私は親として『この子にこういう特性があるということを聞いてくれる人がいて、それを分かった上で一緒に過ごせる人が世の中に少しでも増えてくれたらいいな』と思い、そういう場所をつくりたいと思いました」(コメントは全て岡田さん)

子どもが7カ月くらいで「周りと発達が違う」ことに気づいた岡田さん。産後うつになり、ワンオペ育児の大変さもあり、夫に相談し、東京から実家がある宮城県に戻ることにしました。

岡田珠美さん(撮影はすべて筆者)

「東京では療育(発達支援)も2歳ぐらいから受けられたり、子育て支援がしっかりしていましたが、東京で当たり前だったことが仙台では当たり前ではなく、子どもと行く場所も限られていて、理解者も非常に少なかったんです。行政にも相談しましたが、東京並みの支援は難しく、ますます孤独になってしまいました。

子どもと一緒にいても変な目で見られない場所が一つあればいいのに、ないなら自分でつくっちゃおうと思ったのが始まりです」と振り返ります。

自閉症の子どもと行ける居場所がほしいからつくった

当初、ミクエアは子育てサポート広場だけで運営していましたが、1年ほど経って場所を維持する家賃と人件費をねん出するために、雑貨&アパレルショップを始めることに。

「NPO法人にして補助金をもらって運営することも考えましたが、NPO法人にした場合、税金を使わせていただくことで制約があり、目指している『誰でも使える場所』として幅広く受け入れができないので、あえて民間企業としてやりたいと、夫に相談すると賛成してくれました。

また、子どもと関わる仕事は一般に賃金が低く、スタッフが定着しにくいのですが、スタッフがやりがいをもって働ける給料を払い、自分たちで稼いだ資金を社会貢献費として充当し運営することを決めました。大人も自分自身がやりたいことをやって自立する土台を育てながら、大人たちが楽しく働く姿を子どもたちやお客さまに見てもらって協力し合っていければと思っています」

ショップからプレイルームの様子が見える

雑貨&アパレル販売を選んだのは、もともと岡田さんがアパレル関係の仕事に就いていてノウハウがあったことと、当たり前にありがとうと言えるのは、モノの売り買いが一番いいと思ったからだそう。そして、スタッフ全員がショップスタッフとして働きながら、プレイルーム(子育て広場)に来た子どもと一緒に遊んだり、おしゃべりをしたりしています。

「私たちは多様性について少し勉強している地域住民で、療育や介護のプロではありません。だから、会社として規約を設け、できることとできないことを決めて、支援者としてではなく、従業員としてお客さまをサポートしています」

ご自身も中学時代、不登校を経験しましたが、歌を歌うのが好きで、大学生に混じってバンド活動をするなど、その個性を理解して支えてくれる大人たちに恵まれたおかげで、真直ぐに前に進むことができた、と話す岡田さん。子どもとして、親としての悩みを乗り越えてきた岡田さんがゼロから始めて試行錯誤しながら3年目を迎えたミクエア。次週は施設についてご紹介します。

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店名 MiQuare(ミクエア)
住所 仙台市青葉区栗生7-12-2
アクセス 愛子観光バス みやぎ生協愛子店前下車徒歩1分
駐車場 無料駐車場(約50台)あり
営業時間/10:00~18:00
定休日/日曜・祝日
TEL/022-797-3533
HP/https://www.miquare.net/
料金/プレイルームの利用料は大人(18歳以上)が1時間550円、子ども(6歳~18歳未満)330円、未就学児無料