産後の育児・家事の悩み、産後うつをどう乗り越える?

出産後は気分の落ち込みや情緒不安定、育児や家事に集中できないなど、さまざまな変化があります。今回は産後うつとの上手な付き合い方、のりこえ方について、仙台市で保育・家事代行サービスを行う「Family Sitter仙台」保育家事代行事業部の髙橋愛さん(あい先生)に話を伺いました。

■産後の環境の変化、忙しさは想像以上

「妊娠中は大きなお腹を抱えながら家事をしたり、つわりやむくみなど様々なマイナートラブルに悩まされてきたお母さんは多いと思います。そんな中で、ようやく出産という大きなヤマを越えて、ひと安心と思うと、すぐに赤ちゃんのお世話が始まります」(コメントは全てあい先生)

髙橋愛さん(あい先生)。保育士・幼稚園教諭の資格を持ち、保育施設で14年間勤務。6歳、4歳の2児の母(写真提供は「Family Sitter 仙台」)

「私が出産したときを振り返ると、保育園でたくさんの保護者を見て、育児の大変さはある程度知って覚悟していましたが、実際自分が出産すると、産後の大変さは自分の想像や覚悟をはるかに超えていました。『いつになったら楽になるんだろう』と、出口の見えないトンネルを進むような気持ちで、黙々と身体を動かしていました。そしてホルモンの影響か何かで何となく涙が出たり、うつうつとした気持ちを抱えて育児をしていました」と振り返ります。

■産後の不安や情緒不安定は誰にでもある

あい先生が家事育児代行の仕事で訪問しているご家庭は、近くに頼れる人がいなかったり、夫の帰りが遅く、帰宅しても家事を頼みづらいため、育児を一人で抱え込んでいる方が多いそう。

「産後はホルモンのバランスが急激に乱れたり、24時間体制の育児で、お母さんはもちろん、お父さんやご家族も疲弊しやすくなってしまいます。

そういう中で、我が子を可愛いと思えないとか、赤ちゃんが昼も夜も寝なくて身体がつらい、泣き声を聞くとため息が出るという思いは、誰もが感じる可能性があります。

そしておばあちゃんからも『私も頑張ってきたんだから、あなたも頑張りなさい』と伝えられる文化は日本ではまだまだ根強い気がします。

以前テレビを見ていたときに、海外のある村で、100人の子どもに100人のお母さんがいて、子どもに母乳をあげる人、子どもと遊ぶ人、子どもにご飯を作る人というように役割分担をして、村全体で子どもたちを育てるのが当たり前の社会、文化があることを知りました。

日本は、子ども連れ家庭が周りに気を使って肩身の狭い思いをする場面が多くあると感じます。私も、子どもが生まれて嬉しかったのに、子連れで出掛けると邪魔扱いされたり、子どもの泣き声を迷惑がられた経験があり、そんなときも頭を下げて受け流さざるをえません。本当はもっと、あるがままの子どもの姿や子育て家庭の頑張りや事情を認めたり、さりげなくフォローする温かい世の中になるといいなと思います」

■育児を離れて気分転換しよう

それでは、産後うつにならないためにはどうしたらいいでしょうか。あい先生の場合は、決めること、やることが多く、頭がパンクしそうになり、とにかく子どもと一緒にいることがしんどかった時期があったそう。

「夫に週一回、子どもと離れて自分だけの時間を持ちたいと話し、夫に預けて数時間外に出てカフェでコーヒーを飲んだり、図書館に行ったりしました。また、平日の昼間も、子どもを安全な環境に置いた状態で、10分ほど別室であおむけになって何も考えない時間をつくると気持ちが落ち着くこともありました。

時には一時預かりや産後ケア、ベビーシッターなどを活用して、休息したり、夫婦だけの時間をつくるのもいいと思います」

家事も育児も手を抜かず頑張っているお母さんは多く、産後は家事を最小限度にして頑張りすぎないことも大事だそう。

「ネットでキラキラした家庭やお母さんを見ると、自分も頑張らなきゃとか、自分はダメとネガティブに考えてしまう場合は、そういう情報は見ない方がいいかもしれません。自分ができないことを数えるより、自分ができたことに目を向けて、誉めてあげましょう」

イメージイラスト

また、仙台市内に5カ所あるのびすくや児童館・児童センターの育児サークルのような、公共施設、地域のサービスもどんどん活用しましょう。

「のびすくには常駐の保育士さんや専門の相談員もいて、丁寧にいろいろ教えてくれるので安心して相談しました。同じように育児で悩む母さんたちとちょっと話をするだけでも、仲間意識ができて共感し合えて、気がラクになると思います。友達をつくりたいと意気込まず、少しでもストレスを発散できればという気軽に行ってみるといいと思います。あとは、趣味や好きな場所に出掛けるなど、自分に合った気分転換の方法を見つけられるといいですね」

誰でも陥る可能性がある産後うつ。一人で頑張り過ぎず、周囲に相談したり、様々なサポートを受けながら、休息やリフレッシュできる時間をつくって自分をラクにしてあげましょう。

取材協力:Family Sitter 仙台

https://peraichi.com/landing_pages/view/kidslinesendaiko/