「全国地域安全運動」に、子どもの防犯について考えよう

毎年10月11日から20日までの10日間は、「全国地域安全運動」の実施期間です。そんな中、ここ最近、海外や日本国内でも子どもが巻き込まれる悲惨な事件、胸の痛むニュースが相次いで報道されています。子どもの安全は親がもっとも関心の高いことではありますが、小学生になって自分だけで登校するようになると、始終目を光らせておくのは至難の業です。そうした状況の中では、親が子どもに対してどのような防犯教育を行うべきかがますます重要といえるでしょう。特に小さな子どもにとっては、自分自身の身を守る力を養うため、日常生活で実践できる簡単で効果的な方法を教えることが必要でしょう。今回は、親子で徹底したい、防犯対策を紹介します。

参考:警視庁「令和6年 全国地域安全運動」

「人についていかない」を徹底する

子どもに「知らない人」や「よく知らない人」から話しかけられたときに、絶対についていかないことを徹底的に教えましょう。相手がどんなに優しそうに見えても、また親切に見える状況であっても、見知らぬ人は危険である可能性があることを理解させます。お菓子やおもちゃ、動物などを使って誘われることが多いため、特にこうした状況での対応を練習させておくことが重要です。また、悲しいことではありますが、「近所の人」や「友達の親」が加害者となった事件も過去には起こっています。子どもには、たとえ知っている人であっても、車などには決して乗らないよう徹底させてください。

1人で行動しないことを教える

可能な限り、1人で行動することを避けるようにしましょう。特に、登下校や外で遊ぶときは、友達や兄弟と一緒に行動するように教えてください。集団で行動することで、危険に遭遇するリスクが減少しますし、トラブルが起きた際に誰かが大人に助けを求めることができます。親としても、子どもがどこに行き、誰と過ごしているのか、誰と仲がいいのかを把握し、保護者同士で連絡が取れるようにするなどの工夫が重要です。

「いかのおすし」ルールを教える

「いかのおすし」は、日本でよく使われる防犯の合言葉です。これは「いかない」「のらない」「おおごえを出す」「すぐに逃げる」「しらせる」という5つの行動を示すものです。このルールを実際にシミュレーションして練習することで、子どもは危険な状況に遭遇した際に冷静に行動できるようになります。特に、「おおごえを出す」や「すぐに逃げる」ことが重要です。勇気を持って行動できるよう、話し合いましょう。

緊急連絡先と助けを求める場所を知る

子どもが緊急時に必要な情報を伝えられるように、自分の名前、住所、親の電話番号などの基本的な情報を覚えさせましょう。また、困ったときに助けを求めることができる場所として、交番、コンビニ、知り合いの家などの「安全な場所」を教えておきます。これらの場所を実際に歩いて確認しておくことで、いざというときにすぐに駆け込むことができます。また、スマートフォンやGPS機能付きのデバイスを持たせ、位置情報を把握できるようにすることも有効です。

防犯ブザーを持たせる

防犯ブザーは、子どもが危険を感じたときにすぐに使えるように持たせましょう。ただし、持たせるだけでなく、実際に鳴らす練習を行うことも必要です。どのような状況で使うべきかを具体的に説明することが大切です。

危険を感じたら直感を信じるように教える

子どもには、自分の直感を信じることの大切さを教えます。「何かおかしい」「怖い」と感じたら、その感覚を無視せずにすぐに逃げる、あるいは助けを求める行動を取るように徹底させましょう。

SNSの使い方について話し合いをする

近年、子どもが巻き込まれる犯罪の傾向として、SNSをきっかけとするケースが増えています。2024年3月に警視庁が発表した調査結果によると、SNSによって犯罪被害にあった小学生の数は、10年前の5倍近い139人にも及びました。小学生被害の半数超が児童ポルノで、不同意性交、不同意わいせつが続いています。加害者と知り合ったSNSは、X(旧ツイッター)とインスタグラムで6割近くにおよび、最初に投稿したのは7割超が子どもの側。その半数はプロフィールや趣味など、犯罪に直接結びつかないような内容であったことから、SNSを使うかどうか、使い方などを含めて親子で話すだけではなく、定期的に見直しや確認を行うことが大切です。

参考:朝日新聞デジタル「SNSから犯罪被害、昨年子ども1665人 小学生、10年前の5倍」

子どもが自身の身を守る力は、一朝一夕に養われるものではありません。日常生活の中、親子でしっかりと話し合いと確認を行って防犯意識を高め、具体的な行動をとれるようにすることが重要です。親として、子どもに自らの安全を守る術をしっかりと教え、安心して成長できる環境を整えたいものですね。