図書館というと、会話を控えて静かに過ごす場所というイメージがありますね。仙台市若林区荒井にある私設図書館「荒井まちのわ図書館」は、親子連れOK、おしゃべりOK、飲食もOK。公立の図書館とはひと味違う「荒井まちのわ図書館」は、どんな所なのでしょうか。取材しました。
■コミュニティづくりを目指し私立図書館を開設
「荒井まちのわ図書館」は、福祉からのまちづくりに取り組む「NPO法人まちあす」の代表理事であり、株式会社未来企画の代表として複数の福祉施設を運営する福井大輔さんが、2022年6月にオープン。子育て支援サークルの「Hugくみ」の協力のもと、NPO法人まちあすが運営しています。

「荒井まちのわ図書館」を運営するNPOまちあすの代表、福井大輔さん
福井さんが「いろんな人たちの接点の場をつくりたい」と考えていたときに、一箱本棚オーナー制度を採り入れた民営の図書館「みんなの図書館(通称、みんとしょ)」を知りました。そして、みんとしょを始めた静岡県焼津市の代表者にコロナ渦だったためオンラインで詳細を聞いて「本を介して顔が見える関係ができたら」とつくることを決めました。みんとしょは現在全国各地に約100カ所あり、宮城県は荒井まちのわ図書館の1カ所です。
本棚オーナー制度とは、分割された本棚のひと棚をオーナーが借りて自分だけの本棚とし、自分の好きな本やおすすめの本を並べる制度。「荒井まちのわ図書館」は、月額2200円でオーナーになり、本を貸し出すかどうかはオーナーが決めることができて、希望により図書館の店番もできます。
荒井まちのわ図書館と公立図書館の違いを聞くと「公立の図書館は蔵書の数が多く、図書館分類で置かれていますが、みんとしょは棚ごとにオーナーさんの個性を感じる面白さがあります」

オーナーの好みでひと棚に20冊~30冊を自由に並べられる
若林区図書館もここからは4キロほど離れているので、荒井地区の人には身近で足を運びやすい。テーブルと椅子が置かれ、会話ができて、アットホームな雰囲気があります。
福井さんがもともとテナントとして借りていた場所をリノベーションしてコの字型に本棚を設け、オープンな空間にテーブルと椅子、ソファなどを設置しています。

ブックカフェのような雰囲気。待ち合わせや打ち合わせ、自習もOK
同図書館の入館、本の閲覧は無料、本を借りる場合、最初に貸出カード(300円)をつれば、最大2週間、10冊まで借りることが可能です。
■キッズスペース、子どもにやさしい配慮も

木のぬくもりにあふれる館内
井まちのわ図書館は靴を脱いで入る施設で、奥には畳敷きのキッズスペースを設けています。キッズスペースには、本以外におもちゃやベビーベッドがひとつ、ミルク用のお湯をもらえたり、ミルクの温め、食器の貸出し、飲食も可能。「まちのシェア」ボックスには、おむつや洋服のおさがりがあり、自由に持ち帰れます。特に午前中は、親子連れが多く訪れます。Hugくみの方が店番の日は、絵本の読み聞かせに応じてくれることも。保護者が責任をもって子どもの面倒を見ることを前提に、子ども連れは大歓迎だそう。

キッズスペース
棚のオーナーさんが発案、企画してイベントを行うことも。「本棚のオーナーさん同士が仲良くなって一緒に出掛けたり、新たなつながりが生まれたりするのを見て、良かったと思います。小さいお子さんを連れた方はよく来館されていますが、今後は高齢の方や放課後の中高生など多世代に使っていただき、まちのわが広がってほしいですね」と福井さん。
荒井まちのわ図書館は、不定期営業なので、公式ホームページまたはInstagramで開館しているかどうかを確認して訪問を。

七郷市民センターの隣にある荒井まちのわ図書館
■□■ 施設DATA 荒井まちのわ図書館 ■□■
所在地 仙台市若林区荒井3-2-2
アクセス 地下鉄東西線「荒井」駅より徒歩10分
開館時間 10:00~17:00(休館、短縮、延長の場合あり)
開館日 公式ホームページ、Instagramを参照
入館料 無料、本を借りる場合は貸出カード(300円)をつくる必要があります。
駐車場 有(4台)
公式HP https://machinowa.machius.com/
Instagram https://www.instagram.com/arai_machinowa/