お盆を親子で学ぶ:伝統行事を子どもと一緒に体験しよう

夏の一大イベントといえば、「お盆」。8月の中旬、特に13日から16日にかけては、家族や親戚と集まる機会が多くなる時期です。しかし、子どもたちにとっては「なぜお盆にお墓参りをするの?」「迎え火って何?」など、意味がわからないまま過ごしていることも少なくありません。

そこで今回は、お盆の由来や風習をわかりやすく紹介するとともに、子どもと一緒に体験できるお盆行事についてご紹介します。ご先祖さまに感謝する心を育む、家族の大切な時間として、お盆を過ごしてみませんか?

お盆とは?簡単に子どもに説明するなら

お盆は、亡くなったご先祖さまの霊がこの世に帰ってくるとされる時期です。日本では、仏教の行事のひとつとして古くから大切にされてきました。正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれています。

子どもに説明するときには、こんな言い方がよいかもしれません。

「お盆はね、天国にいるおじいちゃんやひいおばあちゃんたちが、帰ってきてくれるときなんだよ。『元気にしてるよ』って伝えるために、お墓参りをしたり、灯りをつけたりするんだよ」

宗教的な背景を深く理解するのはまだ難しくても、「大切な人を思い出す」「感謝の気持ちを伝える」といった心のあり方は、小さな子どもにも伝わりやすいものです。

親子でできるお盆行事6つ

お墓参りに行こう

お盆の定番といえば、お墓参りです。子どもにとっては初めての経験かもしれませんが、大人が手本を見せながら一緒に行うことで、自然とマナーや意味を学ぶことができます。

お墓では、掃除をしたり、花を供えたり、お線香をあげて静かに手を合わせたりします。その時間を通じて、「命のつながり」や「感謝の心」を実感することができます。

子どもには、「おじいちゃんも喜んでくれてるね」と声をかけると、ぐっと心に残るかもしれません。

迎え火・送り火を体験しよう

お盆の初日には「迎え火」、最終日には「送り火」を焚いて、ご先祖さまを迎えたり見送ったりする風習があります。

昔は玄関先で焙烙(ほうろく)という器にオガラを燃やして行っていましたが、最近では火を使わずにLEDライトやキャンドルを使う家庭も増えています。

火の扱いに注意すれば、子どもにとってはとても印象深い体験になります。「火はあたたかくて明るいから、ご先祖さまも帰り道がわかるんだよ」と話すと、より想像力が広がります。

精霊馬を一緒につくってみよう

お盆の時期になると、ナスやキュウリに割りばしをさした「精霊馬(しょうりょううま)」を見かけることがあります。

これは、ご先祖さまがあの世からやってくるときにキュウリの馬に乗り、帰るときにはナスの牛に乗ってゆっくり帰る、という意味が込められています。

親子で一緒に野菜と割りばしを使って作ってみるのも楽しい思い出になります。「これは早く来てもらえるようにする馬」「ゆっくり帰ってもらうための牛」などと意味を話しながら作ることで、行事への理解も深まります。

故人の思い出を話してみる

お盆は、ご先祖さまや亡くなった家族を思い出す時間でもあります。家族みんなで集まったときに、「おじいちゃんはこんな人だったんだよ」「昔はこんなことがあったんだよ」と、子どもに語ってあげるのはいかがでしょうか。

アルバムを見たり、好きだった食べ物を一緒に食べたりするのもおすすめです。「自分のルーツを知る」という点でも、子どもの心の成長にとって貴重な体験になります。

仏壇や祭壇のお手伝いをしてもらおう

仏壇にお供え物をしたり、花を飾ったりする準備も、子どもと一緒に行うと良い経験になります。お供え物の意味や並べ方など、自然と伝統的な作法を学ぶことができます。

「これをおじいちゃんにお供えしようね」と声をかけると、子どもなりに「誰かのために何かをする」喜びを感じてくれるかもしれません。

盆踊りに参加する

最近少なくなったとはいえ、地域の盆踊りに参加してみるのもよいでしょう。
盆踊りは、お盆の時期にお迎えしたご先祖さまの霊をもてなし、一緒に過ごして送り出す行事。盆踊りの由来は仏教の「念仏踊り」だとされています。室町時代から始まったものであり、約500年もの歴史を持つ厳かな行事のひとつで、ご近所の方との交流のよい機会になるでしょう。
また、東北地方では秋田県羽後町の「西馬音内の盆踊り」など観光の目玉となっている盆踊りもあるので、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。

お盆は“命を感じる”大切な時間

お盆は、単なる「休み」や「行事」ではなく、「いまここに自分がいること」を実感するための大切な時間です。忙しい日々の中ではなかなか考えることのない「命のつながり」や「家族の歴史」について、親子で立ち止まってみるきっかけにもなります。

伝統行事は、親から子へ、子からまた次の世代へと受け継がれていく文化です。今年のお盆は、ぜひお子さんと一緒に体験しながら、心温まる思い出をつくってみてはいかがでしょうか。