子ども薬膳で、健やか生活―秋編―
「医食同源」の言葉通り、毎日食べるものは、私たちの健康と深く関わっています。「子どもにも、体にいいものを食べさせたい!」と考えるママやパパも多いのではないでしょうか。
そこで、漢方の考え方をもとに、その季節に子どもたちに食べさせたい「子ども薬膳」をご紹介。漢方臨床指導士・漢方カウンセラーとして、さまざまな人たちの体の不調に耳を傾け、改善へと導いている大町桜花枝さんに、季節ごとの薬膳についてうかがいます。
秋は、心身のバランスが乱れがちに
毎日暑い日が続き、「秋なんてまだまだ先」と感じてしまいますが、2026年8月7日は「立秋」でした。二十四節気では、立秋から秋が始まります。
もちろん、実際には厳しい暑さが続く時期。それでも、少しずつ日が短くなり、朝晩の空気が変化するなど、自然界では秋への準備が始まっています。やがて草木には朝露がつき、植物は実を結び、収穫の季節へと向かいます。
漢方では、自然界と人間の身体は深く結びついていると考えます。季節が変われば、私たちの身体もそれに合わせて変化していきます。
夏の間は、活発でエネルギッシュな「陽の気」が盛んな季節です。しかし、立秋を過ぎると、少しずつ陽の気が減り、代わって「陰の気」が増えていきます。
この陰陽のバランスが変化する時期は、心身の調子も揺らぎやすくなります。
夏の疲れがどっと出て、なんとなくだるかったり、眠りが浅くなったり、肌の調子が悪くなったりすることも。子どもの場合は、いつもより機嫌が悪い、朝なかなか起きられない、食欲がないなど、ちょっとした変化として現れることもあります。

秋は、これから迎える冬に備えて、身体の中に少しずつエネルギーを蓄えていく季節でもあります。夏休み中は生活リズムが乱れがちですが、夜更かしを控えて早めに眠るなど、少しずつ規則正しい生活を取り戻していきましょう。できるだけ穏やかな気持ちで過ごすことも大切です。
そして、秋の養生で意識したいキーワードが「乾燥」と「うるおい」です。
漢方では、秋の乾燥した空気は「肺」に影響を与えやすいと考えられています。ここでいう「肺」は呼吸器だけを指すのではなく、鼻や喉、皮膚などとも深く関わるもの。空気が乾燥してくると、喉や鼻の不調、肌のカサつきなども起こりやすくなります。
さらに立秋のころは、まだ冷房が欠かせない時期です。暑いからと冷たい飲み物や食べ物ばかりとっていると、夏の疲れと重なって、身体の元気が不足してしまうこともあります。
そこで秋の食事では、身体の「気」を補う食材と、身体に「うるおい」を与える食材を上手に取り入れていきましょう。

サンマや鮭、豚肉、山芋などは、気を補いたいときにおすすめの食材。また、ぶどう、桃、梨、りんごなど、秋においしくなる果物は、身体にうるおいを与えてくれます。
さらに漢方では、秋は「白い食材」に注目。先述した山芋のほか、大根、れんこん、白菜などの白い食材を日々の食卓に上手に取り入れ、乾燥する季節に備えましょう。
シャキシャキおいしい!レンコンとツナのマヨネーズ炒め

秋の子ども薬膳としておすすめしたい一品目は、「レンコンとツナのマヨネーズ炒め」です。
レンコンは、秋に意識したい白い食材のひとつ。漢方では、身体にうるおいを与え、秋にいたわりたい「肺」を養う食材として用いられます。また、ツナは気血を補ってくれ、夏バテで疲れた気を整え、血で潤いを与えてくれます。そしてマヨネーズの原材料である卵は、身体に潤いを与えてくれ、滋養強壮の効果もあるのです。
作り方は簡単。レンコンは薄切りにして水にさらし、水気を切っておきます。フライパンにマヨネーズを入れてレンコンを炒め、火が通ってきたら油を切ったツナを加えます。仕上げに少量のしょうゆを回しかければ完成です。
レンコンのシャキシャキとした歯ごたえと、ツナとマヨネーズのコクは相性抜群。子どもにも親しみやすい味付けなので、ごはんのおかずはもちろん、お弁当にもおすすめです。
旬の桃でうるおいを。桃とモッツァレラチーズのカプレーゼ

もう一品おすすめしたいのが、「桃とモッツァレラチーズのカプレーゼ」です。
桃は、身体にうるおいを与えてくれる食材のひとつ。まだ暑さが残る立秋のころに、ぜひ取り入れたい果物です。
皮をむいた桃とモッツァレラチーズを食べやすい大きさに切って盛り付け、オリーブオイルと少量の塩をかけるだけ。お好みでレモン汁を加えたり、大人用には黒こしょうを振ったりしてもおいしくいただけます。
火を使わずに作れるので、まだまだ暑い8月の食卓にもぴったり。桃のやさしい甘みとモッツァレラチーズのミルキーな味わいは、デザート感覚で子どもも楽しめます。
「薬膳」と聞くと、特別な生薬を使った難しい料理を想像するかもしれません。でも、薬膳の基本は、季節やそのときの身体に合った食材を選んで食べること。スーパーで手に入る身近な食材でも、十分に取り入れることができます。立秋を過ぎても、暑さはまだまだ続きます。夏の疲れをいたわりながら、少しずつ秋の身体へ。旬のおいしい食材の力を借りて、親子で元気に季節の変わり目を乗り切っていきましょう。
取材協力/大町桜花枝さん
ライター/岡沼美樹恵
大学卒業後、出版社に入社。編集局勤務を経て、1999年よりフリーランスに。以来、「河北新報」「中日新聞」などの新聞、「週刊TVガイド」「S-Style」などのエンタテインメント雑誌、「machinaviPRESS仙台」「河北ウイークリーせんだい」などのフリーペーパー、「手とてとテ」「マイベストプロ宮城」などのウェブ媒体で幅広く執筆活動を続けている。そのほか、観光パンフレット、企業パンフレット、広告コピーなど実績多数。ネットで人気の猫“まる”と“はな”のフォトエッセイ「英語で楽しむ!I am Maru.私信まるです。」(双葉社)では、翻訳と英語解説を務めた。