子ども薬膳で、健やか生活<夏編>

「医食同源」の言葉通り、食べるものが健康に与える影響はとても大きなもの。

「子どもにも、体にいいものを食べさせたい!」と考えるママやパパも多いのではないでしょうか。

そこで、漢方理論から導く、この時期、子どもたちに食べさせたい「子ども薬膳」をご紹介。漢方上級スタイリストとしてさまざまな人たちの体の不調に耳を傾け、改善へと導いている大町桜花枝さんに、季節ごとにお話を伺います。今回は「夏」の薬膳です。

漢方とは?

そもそも漢方とは、どのようなものなのでしょうか。

ざっくりとした説明ですが、「食で体を整える医学」です。漢方理論をもとに処方される医薬品が「漢方薬」で、風邪のひき初めに飲む「葛根湯」はよく知られた存在です。

漢方では、人の体は「気」「血」「水」で構成されていると考えられていて、このバランスが取れていることが健康のために大切だとされています。また、この3つと同様に重要視されているのが「五行」となります。自然界の「木」「火」「土」「金」「水」をひとの体に応用して「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という5つの「五臓」に分類します。「五臓六腑に染み渡る」という言葉も漢方的な表現なんですね。

夏は、何に気を付ける?

暦では5月6日頃を立夏と呼びます。ここから約3カ月間が、夏の季節となるのです。

草木が大きく成長し、花を咲かせるこの時期は、植物だけでなく人も新陳代謝が活発になります。新緑を眺めながら、深呼吸をして、気持ちを前向きに。あせらず、怒らずに、太陽の「陽の気」をしっかり取り込みましょう。

そして、これからの季節は、暑さの「暑邪」、湿気の「湿邪」に注意が必要です。気温が急に上がることによって、身体に熱がこもりやすくなります。体に熱がこもると、精神が高ぶって動悸や不眠を招くこともあります。また、湿邪により身体に余分な水分がこもったり、だるさや胃腸の調子を崩しがちになります。

特にお子さんは、この春から新しいお友達や先生との関係が始まった子も多いことでしょう。ただでさえ精神が高ぶる時期です。体の熱を取り除く食べ物を積極的に食べさせてあげることで、熱を体に溜めないようにしましょう。また、早めかつこまめな水分補給も心がけてあげてください。そして、寝具はなるべく乾燥させ、余分な水分が体内に溜まるのを防ぎましょう。寝汗をかいたら、すぐに交換させてあげてくださいね。

体の熱を取り除きたいからといって、冷たいものや刺激物の摂り過ぎるのは、かえってNGです。次回コラムでは、体の熱を取ってくれる食材をつかった簡単なお料理レシピをご紹介します。

話し手/大町桜花枝(おおまちさかえ)さん

漢方臨床指導士・漢方カウンセラー。自らの不定愁訴をきっかけに漢方を学び始めて実践したところ、体の不調が改善。主に女性の体調不良の相談に乗っている。中学生の男の子のママでもある。

聞き手/ライター 岡沼美樹恵