子ども健康相談室 ~夏の三大感染症に注意~ <前編>

気温が高くなり、湿度も増す夏は、実は感染症が起こりやすい時期でもあります。そこで今回は、青葉区中央の「師(もろ)小児科医院」院長の師保之(やすゆき)医師に「夏に気を付けたい子どもの三大感染症」についてうかがいました。前後編でお届けします。

※この記事は、2022年6月8日、9日に「まちのび」アプリに掲載されたコラムの再掲載です。再掲載にあたり、加筆訂正を行っています。

喉の奥に水疱ができる「ヘルパンギーナ」

厚生労働省によると、ヘルパンギーナとは「主にコクサッキーウイルスA群による口峡部に特有の小水疱と発熱を主症状とする夏かぜの一種である」とあります。

飛沫感染、接触感染、糞口感染を感染経路とする“夏の三大感染症”のひとつで、師医師は「ヘルパンギーナは、喉の奥の方に水疱ができるのが特徴で、発熱とのどの痛みを訴えます。水疱が破けて潰瘍化して治るのですが、治るまでが痛いんですね。子どもは、痛みで飲めないし、食べなくなります。治療薬はなく、熱があれば解熱剤を処方するなど、対症療法しかありません。いかに脱水を防ぐかが大事になります」と話します。

「冬の感染症ように、吐いて下痢をしている場合とは違うので、喉の痛みで水分が取れないようであれば、牛乳やココア、ゼリーやアイスクリームなど、しみないものを飲ませたり、食べさせたりするのがいいでしょう」と教えてくれました。

発熱、よだれ、水を飲まないなどの症状があれば、ヘルパンギーナの可能性がありますので、小児科を受診してください。

手足、口内に水疱ができる「手足口病」

厚生労働省の定義によると、手足口病とは「主として乳幼児にみられる手、足、下肢、口腔内、口唇に小水疱が生ずる伝染性のウイルス性感染症である。コクサッキーA16型、エンテロウイルス71型のほか、コクサッキーA10型その他によっても起こることが知られている」とあります。

“夏の三大感染症”のひとつで、師医師は「手足口病は手のひら、足の裏、肘、お尻、頬の内側に水疱ができます。水疱がつぶれると口内炎のようになるので、子どもはとても痛がります。だいたい5~7日程度で治ってはくるのですが、それまでは痛みで飲んだり食べたりするのが難しいかもしれません。ヘルパンギーナと同様、牛乳やココア、ゼリーやアイスクリームなど、しみないものを飲ませたり、食べさせたりしてもいいでしょう。経口補水液や果汁などはかえってしみますので、注意が必要です」。

手足口病は水疱ができるという点で水疱と似ているようですが、師医師は「水疱は手足より体や顔に出ることが多いんですね。水疱が出る場所で見分けます。また、水疱はかゆいのでひっかくと破けますが、手足口病の水疱は固いという特徴があります」と教えてくれました。

飛沫感染、接触感染、糞口感染を感染経路としますので、予防には、手洗い、うがい、マスクという基本的な感染症対策が有効です。

最後に師医師は「エンテロウィルス71による手足口病が流行すると、脳炎や髄膜炎を起こすことがあります。熱が続く、元気がない、頭痛、嘔吐がある場合には必ず小児科を受診してください」と付け加えていました。

取材協力/師小児科医院 院長 師保之医師
ライター/岡沼 美樹恵

施設情報

師小児科医院

住所/仙台市青葉区中央2-10-17
交通/仙台市地下鉄南北線広瀬通駅徒歩1分
診療時間/8:00~12:30、14:00~15:30(完全予約制・乳幼児健診および予防接種のみ)、15:30~17:30
*最新の診療スケジュールはウェブサイトで確認してください。
休診日/水曜午後、土曜午後、日曜
HP/https://moro-kodomo.com/