ひらがなの読み書きは小学校から始まりますが、昨今は家庭や幼稚園などでひらがなを習得してから小学校入学を迎えるお子さんも多くいます。
文部科学省の資料によると、「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿」の項目に「言葉による伝えあい」として、「文字を読んだり、書いたりする」という文言もあるので、小学校入学前には習得したほうがいいかもしれません。また、小学校入学前に文字の読み書きができれば、授業もスムーズに受けられることでしょう。
ただ、当然ながらひらがなの習得には個人差があります。特に幼児期ではお子さんに合わせたタイミングを見極めることややる気を引き出す進め方が大切です。
発育とひらがなの読み書きの関係
さまざまな研究結果から、1歳ごろまでの子どもの発達は、視覚より聴覚が先だということがわかっています。生まれたての赤ちゃんは目が見えないので、音に対する意識から発達します。1歳未満の赤ちゃんは耳で言葉を覚えるようになります。この時期は、具体的な言葉の意味ではなく、大人や兄弟から話しかけられた世界をイメージとしてとらえているようです。
1歳を過ぎると、さまざまなイメージが脳に蓄積され、視覚からの情報を脳で振り分けることができるようになります。2歳半にもなると、図形の違いを判別することができるようになり、たとえば絵本を開いた時にそこに描かれている物が、絵なのか文字なのかを判断できるようになります。絵本の読み聞かせを毎日行うことで、文字や言葉が自然に覚えることもできるでしょう。
文字が書けるようになるには、図形として文字をしっかり判別することが必要なので、早いお子さんなら2歳過ぎから文字が読めるようになり、3歳ごろからはひらがなが書けるようになるケースもあります。ただ、3歳で文字を書くようになるケースはまれなので、焦る必要はまったくありません。4歳くらいになると、指先が思い通りに動かせるようになり、鉛筆が使えるようになります。成長の時期をみながら、楽しんで文字を書けるようにしてあげましょう。
ひらがなの読み書きはこう教えよう!
一般的には、書くことより読むことを先に教えます。0歳〜2歳半までは、たくさんの言葉を聞くことで言葉を覚えています。赤ちゃんのころからの声がけ、絵本の読み聞かせや文字の書かれた積み木などおもちゃなども使いながら、文字を指で追って読んであげましょう。また、外に出たときの看板など「なにが書いてあるのかな?」など、文字に興味を持つようにしてあげることも一つの手です。
文字を書かせる練習は、鉛筆からはじめましょう。まずは殴り書きからでかまいません。それからガイドを使って、縦、横、曲線など、なぞり書きをして力の入れ方や手指の動かし方を練習します。画数の少ない文字「く」「し」「つ」などが書きやすいでしょう。
ひらがなを書くことに慣れてきたら、覚えた一文字ずつを組み合わせて単語へと発展させます。自分の名前や、「ぱぱ」「まま」など、身近な人や好きなものの名前などに広げていきましょう。できなくても細かなことを言わず、紙に書く楽しさと文字に興味を抱くきっかけをつくってあげてください。どんなことにも共通していえることですが、あくまでもお子さんのタイミングで、飽きさせない工夫と、楽しんでやらせてあげましょう。