0歳児からの保育をサポートする「Family Sitter仙台」代表の中原絵梨香さんに聞く

0歳児からの保育、家事代行など、産前産後のお母さんに寄り添いサポートする「Family Sitter仙台」をメインとする株式会社キューテストを、子育てしながら立ち上げた中原絵梨香さん。秋田市出身で、幼い頃にお母さまを亡くし、周りの親切な方々に支えられて育ったことを忘れず感謝する気持ちが、保育の仕事の根底にあります。起業のきっかけや保育サービスの思い、ご自身の子育てについて聞きました。

“地域の人たちに見守られて育った”経験

Q：保育・家事代行サービスの事業を始めたきっかけは？

A：妊娠したとき、夫は単身赴任でつわりがひどかったので、香川県にある夫の実家に行って出産しました。おかげで出産後もゆったりできましたが、たくさんの荷物を持って宮城から香川に移動して出産するのは、大変でした。そのとき、女性が住み慣れた好きな街で子どもを産める環境が宮城県に必要だと思ったんです。

出産後は夫と子どもと3人で暮らし始めましたが、初めての子育てで、夫婦だけの生活とは違って、家事をうまく分担したり頼ることが難しく、夫婦だからこそ気を使うこともあり、喧嘩になることもありました。

だから、むしろ第三者の方が頼りやすいかも、と思ったんです。第三者が温かく子育ての過程を見守ったり、一緒に子どもの成長を喜ぶ仕組みがあれば、お母さん、お父さんの精神的な安定にも繋がると思い、一念発起して起業しました。

Q：最初は一人で始められたんですね。

A：何も分からないところから起業しましたが、仙台市主催の「社会起業家人材育成プログラム」に採択されて、社会の課題を解決することと、自分がやりたい事業をどう世の中に発信していくかを学びました。そこで仲間がたくさん出来て、ここで働きたいと言ってくれる人もいて、良いつながりが出来ました。

起業した後、ちょうどコロナ禍と重なり、お母さんたちが一人で閉じこもって子育てをすることが多く、他の人と話をしたり子育てを見て学ぶ機会もなくなった時期でした。そこで、正しい知識を持つ専門職の人が家庭に訪問して子育てをサポートすることは、社会的にも必要だと思いましたし、子どもの成長にも重要だと思いました。

家事代行サービスの料理の一例

Q：ご自身の子育てで大変だと感じたのはどんなときですか。

A：子どもが小さい時に一生懸命発信しようとしているのは分かっても気持ちを汲み取れなかったり、子どもの気持ちの切り替えがうまくいかないとき、大人の事情で時間を区切らなきゃいけなくて「帰ろう」と言っても納得してもらえないようなときがあって。そういう場面を逃さずに、あの手この手で伝え方を工夫したり、一生懸命気持ちを受け取ろうと試みたり、手を焼きながら向き合って、目の前のことを一つひとつ整理しながら進んできましたね。