「元気のでるファミリーホスピタル」を目指す 宮城県立子ども病院 レポート後編

東北唯一の小児科に特化した病院「宮城県立こども病院」は、「元気のでるファミリーホスピタル」を設計理念として掲げています。今回は、前編に続いて同病院の取り組みについて伺います。

家庭的な環境をつくり子どもの育成を支援する

Q:子どもの成長を温かく見守る「元気のでるファミリーホスピタル」について具体的に教えてください

A:「宮城県立こども病院」では開設当初から、保育士や医療ソーシャルワーカー、臨床心理士などのさまざまな専門職から構成される「成育支援局」を設けており、患者さんへの医療の提供だけではなく、入院治療や療養生活をおくるすべてのこどもたちとその家族が、家庭に近い環境で生活をおくり、成長と発達ができるように支援しています。

例えば、成育支援局の「こども育成支援グループ」では、チャイルド・ライフ・スペシャリストという専門職員が配置されており、患者さんやご家族が感じる不安やストレスを少しでも和らげ、成長・発達を支援し、こどもが本来持っている「困難を乗り越える力」を発揮できるように支援しています。

また、各病棟には保育士が配置されており、病気や障がいを抱えながら成長する子どもたちが安心して楽しく生活できることを意識して、いろいろな場面を通して自己肯定感を高め、自信を持って意欲的に生活していけるように、心理的なサポートをしています。

夏祭り風景

ハロウィンや夏祭り、クリスマスといった家族的なイベントに合わせて病棟を飾り付け、患者さんが参加できるイベントを開催しています。

クリスマスイベント風景

さらに、成育支援局には「ボランティアグループ」があり、ボランティアとして登録していただいた方に、日常的に受付の補助をしていただいたり、遊びやイベントのお手伝い、車椅子や玩具の修理をしていただいたりと、さまざまな場面で地域の方々にご協力いただいており、大変ありがたく思っております。※ボランティアは病院のホームページ、県政だより、近隣の町内会のチラシなどで募集しております。

子どもたちが笑顔になるさまざまな施設が充実

「宮城県立こども病院」に入ると、一見、アミューズメント施設のようなカラフルで夢のような空間が迎えてくれます。ポスト型のすべり台、お菓子をイメージしたシースルーエレベーターなど、ワクワクするような施設や設備などが揃っていて、子どもが楽しく治療に向き合えるように工夫されています。院内の施設を案内してもらいました。(各施設については、「入院患者のみが利用できるエリア」等の利用制限がある場合がございます。)

清潔感がある保育室では、保育士の管理のもとで、おもちゃや遊具で遊べます。

保育室

おもちゃや遊具で遊べるプレイルームなど、自由に遊べる場所があります。

1階のプレイルーム

本の貸し出しや閲覧ができるこども図書館、DVDや漫画を借りたり、おもちゃで自由に遊んだりできる図書談話室があります。

こども図書室
図書談話室

一部の院内施設を紹介しましたが、児童館や図書館といった公共施設のようで、病院特有の雰囲気や匂いを意識することはありませんでした。 子どもが安心して過ごせる場所と時間を提供し、その中で子どもが興味や関心、生きがいが持てるきっかけを見つけていく。そういう日常を目指しながら医師、看護師をはじめさまざまな専門職、地域のボランティアの方々がひとつになり、治療のみならず心と生活をサポートする「宮城県立こども病院」。掲げる設計理念のように、子どもを安心して産み育てたいファミリーにとって非常に心強いファミリーのような病院だと感じました。

ライター/青葉桜

◆◇◆ 取材協力 ◆◇◆

施設名/宮城県立こども病院
住所/宮城県仙台市青葉区落合4-3-17
アクセス/仙台駅より車で約20分、仙台宮城I.C.より車で約7分、JR仙山線「陸前落合駅」より徒歩10分、バス停「宮城広瀬高校・こども病院前」より徒歩5分
駐車場/有
診療時間/9:00~16:30
TEL/0570-003-876(ナビダイヤル)
休診日/土・日・祝、年末年始(12月29日から1月3日) ※診療は紹介予約制です。
HP/https://www.miyagi-children.or.jp/