子ども薬膳 2024秋 【肺】を補う食べ物あれこれ

「医食同源」の言葉通り、食べるものが健康に与える影響はとても大きなもの。

「子どもにも、体にいいものを食べさせたい!」と考えるママやパパも多いのではないでしょうか。

そこで、漢方理論から導く、この時期、子どもたちに食べさせたい「子ども薬膳」をご紹介。漢方臨床指導士・漢方カウンセラーとしてさまざまな人たちの体の不調に耳を傾け、改善へと導いている大町桜花枝さんに季節ごとの薬膳についてうかがいます。

秋は、心身のバランスが乱れがちに

立秋を過ぎたら、季節はもう秋。
植物は実をつけて収穫期を迎え、食べ物の少なくなる冬に向けての準備を始めます。
「食欲の秋」ともいわれますが、これは動物が秋の間にたくさん食べて冬に備える本能的行動です。

秋は、陽の気と陰の気が入れ替わる季節で、人は不安定で感傷的になりがちになります。

心身のバランスがうまく取れずに、不眠や疲労倦怠感、肌トラブルなどが表れる人も多くなります。陰陽のバランスの変わり目は、身体だけでなく情緒も乱します。身体の中にエネルギーを貯めるためにも、早寝早起きを心がけ、穏やかに過ごしましょう。

秋の空気は乾燥しているので、バリア機能を持つ肺や、喉、腸に負担をかけます。
乾燥による肺や喉への負担は、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器疾患の悪化にもつながるので、注意が必要です。また、夏に冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎたり、冷房にあたって身体を冷やしたりすることによってだるさを感じる人も少なくありません。

秋に傷つきやすい肺は、うるおいを好みます。この時期積極的に摂りたい食材として挙げられるのは、サンマやいわし、鮭、豚肉、山芋。果物では、ぶどう、柿、梨やりんごなどが身体にうるおいを与えてくれます。そのほかにも、大根やれんこん、白菜や白きくらげ、豆乳など『白い食材』をうまく活用してみてください。

つくってみよう

おすすめは、鮭ときのこの豆乳チャウダー

玉ねぎとにんじんは薄くスライス、しめじとえのきは食べやすい大きさに切って600Wレンジで3分30秒ほど加熱します。鮭はお好みの大きさに切っておきます。鍋にバターと小麦粉を入れ、豆乳で伸ばしながらチャウダーに。この時、泡だて器を使うとダマにならずにチャウダーがつくれます。鮭を入れて加熱し、鮭に火が通ったらレンジで加熱した野菜を入れます。コンソメ、塩、コショウで味を調えたら完成です。お腹にも優しいチャウダーで身体を温めましょう。

おやつには、ぶどうのゼリーをどうぞ。
皮ごと食べられるぶどうをミキサーやフードプロセッサでジュースにして、お湯で溶かしたゼラチンを加えて冷蔵庫で冷やすだけ。裏ごしするときれいな色に仕上がりますが、我が家ではぶどうの栄養を全部いただきます。

乾布摩擦も効果的

また、毎年お話していますが、この時期にぜひ試してほしいのが、「乾布摩擦」。

「乾布摩擦」は皮膚を刺激する事で肌と密接な関係にある肺を強化することができます。風邪予防、免疫力アップ効果が期待できるので、ぜひお試しを。ゴシゴシすると肌に負担がかかるので、優しくこすってください。

話し手/大町桜花枝さん

漢方臨床指導士・漢方カウンセラー。自らの不定愁訴をきっかけに漢方を学び始めて実践したところ、体の不調が改善。主に女性の体調不良の相談に乗っている。中学生の男の子のママでもある。


聞き手・ライター/岡沼美樹恵