乳幼児に卵を食べてさせる。卵アレルギーはどう対応する?

離乳食を始めるとき、食品アレルギーが気になりますね。食品アレルギーを起こしやすい食材は何か、どういう症状が出るのか、どう対処するか、不安があると思いますが、食品アレルギーを気にし過ぎてあれこれ制限してしまうと、成長期の子どもに必要な栄養素が不足してしまうことも。正しく理解して、適切に対応していきたいですね!

宮城県・仙台市で保育・家事代行サービスを行う「Family Sitter仙台」の保育家事代行事業部の髙橋愛さん(あい先生)に、「三大アレルゲン食材」のひとつ、卵についてお話をうかがいました。

髙橋愛さん(あい先生)。保育士・幼稚園教諭の資格を持ち、保育施設で14年間勤務。6歳、4歳の2児の母(写真提供は「Family Sitter 仙台」)

■卵を食べるのは生後6カ月くらいから

まちのび:アレルギー食材の約7割をしめるという「三大アレルゲン食材」とは?

❤あい先生:特に0歳児に多いアレルゲン食材は、鶏卵、牛乳、小麦です。1、2歳になると鶏卵、牛乳、木の実類(ナッツなど)です。

まちのび:どんな症状が出ますか。

❤あい先生:代表的な症状は皮膚に赤い発疹が広がること、また目の周りをかゆがったり、呼吸が苦しそうにゼーゼーしたり、嘔吐したりといったことがあります。重い場合は、アナキラフィーショックといって呼吸困難や意識障害が現れ、命の危険に繋がる場合も。食事をしてから10分前後に症状が出ることが多いですが、まれに1時間ないしは数時間後に出る場合もあります。

※写真はイメージ

まちのび:お母さんはどう卵を与えたらいいのでしょうか。アレルギーが出たら怖いですよね。

❤あい先生:アレルギーが出たらどうしようと躊躇して卵を食べ始める時期を遅らせてしまうお母さんがすごく多いですよ。でも、今は開始時期を遅らせるとかえってアレルギーが発症するリスクが高まってしまうことがわかっています。離乳食初期、生後6ヶ月ぐらいで食べさせるのが、アレルギーを抑えるポイントになってきます。

■ゆで卵の黄身を耳かきひとさじから

◇まちのび:卵はどうやって食べさせたらいいですか?

❤あい先生:最初は重湯(おもゆ)と言われる10倍粥から始めて、野菜類、白身魚、そして卵という順番で食べる食材を増やしていきます。

卵はお湯で20分くらい茹でて固ゆで卵をつくり、白身と黄身を分けます。白身は黄身より強いアレルギー成分を含むので、初めは黄身だけを耳かきひとさじ分の微量から始めて毎日少しずつ量を増やします。黄身を2分の1くらい食べても異常がなかったら、白身も同じように、耳かきひとさじ程度から増やしていきます。

白身も2分の1くらい食べられるようになったら、その後は卵焼きなど違う調理法に挑戦してみてください。ただ、加熱時間は長く、加熱温度は高いほど発生が抑えることができるので、加熱時間や温度に注意してください。

私は子どもが2人いますが、長男が6ヶ月のときから卵を食べさせて、固ゆでの黄身も、白身も4分の1程度食べても異常がなかったので7ヶ月のときに溶き卵スープをあげたら、1時間後ぐらいに全身に発疹が広がって息苦しさも見られて。すぐに近くのかかりつけの小児科に駆け込んだことがあります。あとで考えたら卵スープの加熱時間が、茹で卵をつくったときに比べてかなり短かったんです。

■信頼できるかかりつけ医の指導のもとで治療を

まちのび:近くに信頼できる医院を見つけておくことも大事ですね。

❤あい先生:だいたいの小児科ではアレルギー検査はしてもらえますが、お医者さんの方針やアレルギーの重症度によって治療法っていうのが違うようです。1歳まではアレルギー食材を食べさせないで完全に除去しましょうという医院、アレルギー反応が出ない程度の極少量を毎日あげてくださいという医院もあります。私が通っていた小児科は後者で、とにかく毎日あげた方が治りやすいから、固ゆで以外にも反応が出なければあげてくださいと言われていました。

それで半年後に受診した際は、もうほぼ治って、4歳ごろには、生卵を使った卵かけご飯も普通に食べられるようになりました。

◇まちのび:アレルゲン食材を食べさせる上で、ほかに注意することはありますか。

❤あい先生:どの食材が原因でアレルギー反応が出るのか分からなくなってしまうので、アレルギー食材は1日ひとつだけにしてください。また新しい食材を食べさせるときは、万が一の際に病院の診療時間に間に合うよう午前中に食べさせるようにしてください。

また、乳児湿疹や乾燥肌、アトピー性皮膚炎があるお子さんは、皮膚科や小児科で塗り薬をもらって湿疹を綺麗に治した上で、卵の摂取を開始するよう注意してください。

どんなにお母さんが気をつけていてもアレルギー反応が出てしまうかもしれませんが、牛乳、鶏卵、小麦のアレルギーは比較的治癒しやすいとのこと。小学校入学ごろまでには8割くらいの子どもが治ると言われているので、もし反応が出てしまっても、落ち込まずに、医師の指導のもとで治療していくと、少しずつ治癒につながっていくと思います。

■□■■□■ 取材協力:Family Sitter 仙台 ■□■■□■
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